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「女ー王ー様!」
気だるそうに溜め息を付きながら、少年は大声で呼ぶ。
紫色の厚いカーテンの向こうに、薄くシルエットが浮かぶ。
長い髪の毛の、ドレスを着た女性の姿が。
「……何?」
冷たく、シルエット姿の女性は答えた。
「兎が逃げた。『時計』を持ってー」
「……そう」
少年は、長い前髪で隠された瞳を歪ませて笑った。
黒い布で身を包んだ、謎めいた姿で。
「どうするのー? 追いかけて捕まえて、首跳ねちゃう?」
クスクスと、体を仰け反らせて笑う。
微かにシルエットは動いたが、相変わらず冷たい声で女性は言った。
「……好きにしなさい。 兎が遅刻するはずないが」
「あはは、そうだよねー☆」
――兎は、女王様に絶対的な忠誠を誓ってるもん♪♪
「だから、何? 用が終わったなら早く出ていけ」
カーテンの向こうで、女性は拒絶する。
少年は、馬鹿にした様に笑い、部屋を出て行った。
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