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この辺りから、だんだんと彼の考えは迷走していく。
元々何の目的意識もない疑問だ。
全ての可能性を示唆して堂々巡りをするまでは、いくらでも考えは暴走できる。
所詮はちょっとした暇潰し、別に本当のところを知りたいわけじゃないし
――真に解答を知りたいのだったら、まず本人に訊くという簡単な手段がある――
どうせなら面白い方向に脚色するのも悪くはない。
それで迷惑を被る人も居ないのだから。
(もしかしたら、特定の血統内で配合を繰り返すような一族の末裔か?
自分達の血統を残すために。
何故そんなことをするのか……?
今は数少ない民族だったのか。
いや……そもそも、人間ではなかったら?
としたら、彼女は何だろう?
紅い目に金の髪というと――)
吸血鬼か何かかな、と他愛も無い幼稚な妄想を多大に膨らませて、牧山はしばらく立ったままその少女の姿を見つめていた。
身長は高くは無いが、まさに年齢不詳という感じな百六十センチ前後。
やはり、二十歳は超えていないと見ていい。
まだまだ子供ということか――。
そこまで考えてから、牧山はようやく違和感に気が付いた。
「……あれ?」
子供。
……そうだ、さっき。
“子供も居ない”と言
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