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難しい。
おそらくは十七、八……と牧山は自己完結した。
雪に半分ほど埋もれているブーツは、焦げたような暗い赤色。
長い金の髪の生えている頭の天辺には、あたかも著名な画家のように平たく丸い赤帽子を被っていた。
けれど何よりも特徴的なのは、映ったものを吸い込んでしまいそうな、その深い緋色の目。
此処で無い何処かを映し出すような、紅い、紅い透き通った鏡。
その先には――――
「…………!」
僅か数秒の間ではあったが、牧山はつい彼女の容姿に目を奪われていたことに途中で気が付き、慌てて場を取り繕うことにした。
「すみません、……どうぞ。」
「え、あ、どうも……。」
少女は牧山が順番を明け渡すと、小さくお辞儀してから自身の二千円札を紙幣口に押し込んだ。さらりと揺れた髪は夕日に映え、染めていない本物の地毛だと証明している。
日本の血の方は分からないが、海外の血が濃く流れているのは疑いようも無い。
「んー……」
後ろに人がいるというのに、彼女は何を買おうか迷い始めた。
そういうことは、札を入れる前にしておかなくてはいけないのに。
本当なら怒ってもいいところだ。
だが、牧山はさっき見つめ続けていたことに後ろめたさも
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