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皆が教室から去った後、ユリはある机の前に立った。
マナの机だった。ほんのりとキンモクセイの香りがした。彼女はキンモクセイが大好きだった。
マナはいつもこの席で本を読んでいた。ときおり顔をあげ、教室をぐるりと見てはまた本に視線を戻す仕草は彼女のクセのようなものだった。
ユリは机に触れてみる。夕日に照らされたその机はほんのりと暖かかった。
しばらく何も考えずに机を撫でていたユリは思い出したように手を止め、馴れ親しんだ教室を後にした。
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