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力があればこその世界のなかで、感情は欠落し無意識的に力を制限してしまう。
静かに流れる涙によって抑圧された精神は解放され、また体内に隷属された見えざる力をも発現する。
他者に接触を試みる努力は虚しく終わり、意識の渦は日常に横たわる充足された空気と混じることを許されない。
『無』で満たされた心の器が感情を吸収し、気怠い精気を生み出す。
奪われたのは見えない壁。奪い取ったのは孤独。
言葉は届かないが声はそこかしこに満ちている。
悲しい空間のなか、人は気付くことなく幸せに生きているのだ。
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