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開けた視界に映ったのは、血にまみれ、地に伏した彼女。
何があったのか理解できた。ただ、心が理解するのを拒絶している。
「骨のない奴だな」
彼女を見下し、艶のある声でつまらなさそうに呟くヒトならざるモノ。そいつは彼女を乱雑に持ち上げ、壊れた玩具をゴミ箱へ捨てるように、私に投げてきた。
「“それ”を捨てておいてくれないか? 年を取ったせいか、面倒だと思う事が多くてな」
グシャリと嫌な音を立てて、彼女は地面に墜ちる。慌てて彼女を抱えると、既に冷たくなった躯だけが私の腕の中に在った。
もう、死んでいる。死んでいる。
死んで……いる?
嘘。嘘嘘!!
ペタペタとあちこちを触り、確認する。
「……」
返事は、いつになっても来ない。頭がくらりとして、彼女を殺したそいつを睨み付ける。
「私……は、貴様を許さない」
躯の奥で、何かが外れた。それは──。
「ああああああああっ!」
頭が真っ白になった。
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