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「…アリア、ちょっと待てって…!…」
「お母さん、お父さん…はぁ…はぁ……」
帝国のPARTが自分の生まれ育った町を焼き尽くさんとばかりに暴れているのが遠くからでも二人には見えていた
=クイン=
「キャーッ、誰か…誰か助けて!」
「パパァ、熱いよぉ」
「くそ、こんな白昼堂々攻めんで来やがって…っ!」
辺りに響き渡る銃声に悲鳴、建物が壊されていく瓦礫音
町では自衛軍がPARTに立ち向かっていたがARSを駆使してもその圧倒的数には手も足も出ないでいた
=首都アルエド=
首都ではその非常事態に急いでARS部隊を発進させたがそれでも真昼の奇襲に部隊は混乱していたのである
そんな混乱の中でにまにま笑う冷静な男が地下の秘密裏にある格納庫いた
白衣をダルそうに着こなして漫画に出て来るようなぐるぐるメガネ、ボサボサの髪に火のついていないタバコをくわえ隣には凛とした助手であろう女を連れている。男は目の前にある、他の量産型とは少し違ったARSを見上げながら女に口を開く
「リンくん、今がチャンスだと思わなぁい?」
「はい」
「でも、パイロットがいないんだよねぇ?」
「はい」
「どうしよっかぁ?」
「……戦場に投げ出してはどうでしょうか。ライオンが子を崖から突き落とすように」
「えぇ、ダメだよそんなことぉ。この子がケガしちゃうよぉ」
ARSの足にすがりつきぴーぴーと泣き喚く白衣の男とそれを無表情で見つめる女
「ですから、ある程度自動で動くように自立機動型AIを搭載したのでしょう」
「そりゃあ、そうだけどねぇ……仕方ないねぇ…。それじゃあ発進しよっか」
「はい」
妙に潔くARSの足から離れ、「頑張るんだよ」と呟いて何やら難しそうなコンピューターを操作すればARSを乗せていた滑車はゆっくりと動き始め、クインへと向けて地下滑走路を勢いよく滑り始めた
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