第一章・義母

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 アハハ、と頭をかいて言いわけをした。  ちょっと理由は違うが、『家出』は本当のこと。ウソは半分しかついてない。  ……いや、ほとんどウソ、だけど。 「まっ、それはさておき、護衛役、僕がやってやろうか?」 「え?」  意外な申し出に孫登は目を瞠る。 「あはっ、じつは僕も揚州にはいろうとしていたんだ。お前は一人でも義母上に会いに行く気なんだろう?  ――それって、危なっかしいよなぁ。なら一緒に行こう――ね、一石二鳥だとおもわない?」 「いいのですか?!」 「ああ、男に二言はない!」 「ありがとう! 子英!」  周瑾の手を優しく包み穏やかに笑う孫登。  その暖かくて以外と男らしい手にもびっくりだけれど。 ――なんて、穏やかに笑う人なんだろう。  なんとなく照れてはにかんだ。
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