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アハハ、と頭をかいて言いわけをした。
ちょっと理由は違うが、『家出』は本当のこと。ウソは半分しかついてない。
……いや、ほとんどウソ、だけど。
「まっ、それはさておき、護衛役、僕がやってやろうか?」
「え?」
意外な申し出に孫登は目を瞠る。
「あはっ、じつは僕も揚州にはいろうとしていたんだ。お前は一人でも義母上に会いに行く気なんだろう?
――それって、危なっかしいよなぁ。なら一緒に行こう――ね、一石二鳥だとおもわない?」
「いいのですか?!」
「ああ、男に二言はない!」
「ありがとう! 子英!」
周瑾の手を優しく包み穏やかに笑う孫登。
その暖かくて以外と男らしい手にもびっくりだけれど。
――なんて、穏やかに笑う人なんだろう。
なんとなく照れてはにかんだ。
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