47人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
「お望みのままに、子英。君といれば生涯飽きない気がする。じゃあさっそく杯を交わそう、義兄弟の契りの前祝いとして」
「酒、かぁ」
周瑾はにやり、とわらった。いかにも楽しみだというように。
「いける口?」
「呑んだことがないからわからないけど、ものは試し。そうだ、子高の方こそ大丈夫か? 噂で聞いたんだけど孫の一族はけっこうな酒が入ると人格が変わるそうじゃないか?」
「あはは、大丈夫。私は一族の中では蟒蛇(うわばみ)なんだ。けっして下戸じゃない」
「あやしいもんだ」
「だから、試すんだろ?」
孫登は侍女に酒を用意するよう頼んだが、逆に血相をかえ侍女が必死に呼び叫ぶ。
「――子高さま、子高さまっ、太君が!」
「義母上が?」
「自害、されました……!」
「!」
孫登は青ざめて義母の室に向かった。
そこには――。
匕首(ひしゅ)で喉を突き命果てた義母の姿。
徐氏は悲愴な表情をしていた。
最初のコメントを投稿しよう!