📖甲板にて…

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  「最初はよお、軽~い運動みたいなもんだったのがどうも盛り上がっちまってよお!」 ガハハハ! と、逞しい胸筋を揺らして笑う海の男(マッチョ)。 「キャー💕 ヒューイさまあー💕💕」 と、黄色い声を飛ばしているのはこの船の持ち主の孫娘ステア。 ルプガナでモンスターに襲われているところを助けられて以来、すっかりヒューイに「お熱」らしい。 周りを囲んでいる船員たちも口々に そこだ! いいぞやれ! と、2人に声援を贈っている。 (………なるほどね) ムーンブルクの王女 ディアナは、事態を悟ってこう言った。 「で?いくら?」 「…………へ?」 「賭けてるんでしょ?」 「な、な~んの事かな~あ?」 「一口5Gからッスよ!」 目の泳ぐマッチョに代わり、脇からヒョッコリ現れた見習い君が答えた。 「今んとこ8:2でヒューイ王子に賭けてんのが多… ぃてッ!!」 突然後頭部に拳を当てられ、見習い君は拳の主を睨みつけた。 「何すんスか!!」 「ば…っかおめ、王女様の目の前で賭事がどうとか──」 「賭けの対象はロトの国の王子なんだけど?」 鋭いディアナのツッコミに固まる2人。 マッチョの方は 「あはは…HAHA☆」と、 乾いた笑いを浮かべている。 見ると、見習い君の首には2つに仕切った箱がかかっている。 どうやら賭の元締めは彼らしい。 「H」とマークしてある方があきらかにゴールドが多く入っている。 …ディアナはそれが気に入らない。  
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