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間合いを開けて構えをとるキオ。
対し、ヒューイの方は体をキオに向けてはいるが特になんの構えもない。
(あったまくるなあ…)
じと眼でキオはヒューイを睨む。
「ねぇ、ちゃんと本気出してくんない?」
「ぇえっ!?」と声を上げたのは周りのギャラリー。
誰も彼も、「それはむしろヒューイのセリフじゃないんかぃ!?」という顔をする。
「本気じゃねぇつもりはねぇよ」
ヒューイが返した言葉に、再び周りから「ぇ゛え゛っ!!?」と声が上がる。
みんな「ならサッサとケリつけろやっ!!!」という顔をした。
構えを解いて、キオは長いため息をつく。
(そりゃ、解ってるけどさ…)
ヒューイとは、そろそろ幼なじみと言っていい程の付き合いの長さだ。
ケンカだって何度もした。
しかし、自分が彼を
蹴ったり
殴ったり
ど突いたり
投げたり
あまつさえ魔法でぶっ飛ばしたりしたとしても、
彼から手を上げられた記憶と云う物はまるで無い。
理由は解る。
自分の方が年下だからだ。
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