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「……はァァァ……」
部屋から出た瞬間、俺はある意味予想通りの目の前の現実に溜息を漏らし、扉を閉める。しかし某正解率一パーセントの蝉の鳴くゲームの登場人物のように手を入れられて、閉めるのを防がれ強引に開けられた。主人公がどれだけ怖い思いをしていたのかが分かった。
「榛名く~ん。晩御飯でしゅよ~」
京都姉による割烹着先輩の声帯模写。ニヤニヤと悪魔の笑みを見せる京都姉。悲しむ俺を尻目に部屋に投げ込まれるぺちゃんこと化したバッグ。ちょっとカッコつけて部屋から出て来た俺の哀れな期待。もうやだ。恥ずかしいし、死にたい。
「おいお前。逃げるなんて許さないぞ」
と、俺の事なんかお構いなしに京都姉は俺の衿を掴んで引っ張り出す。どこの五才児だよ。
「ちょっ!ここ二階ですよ!」
「知るか」
「は・な・せ・よ!」
しかし離させることが出来ない。なんつー馬鹿力だよ……って感心してる場合じゃない!
「さぁさぁさぁ。今からとても楽しい催しものが生で見られますよ~」
すぐそこに15段はある階段の魔の手が!
「誰か助けてぇぇぇっっ!!」
虚しく響く本日二度目の断末魔の叫び。
「もちろんこいつを助ける人は誰もいなかったとさ♪」
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッッッッ!!!」
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