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この私立小樽梨高校も入ればあっという間で、気付いた時には最上級生となる三年生になっていたわけで、
テニスという名の黄色い球をラケットで強く弾き、相手にぶつけ、悶絶させる素晴らしいスポーツも三年連続となる市内大会一回戦落ちという代々先輩達から受け継がれた栄光の懸け橋を無事繋ぎ、心置きなく引退して他の部活動生より先にいち早く帰宅部となったところで、
見事彼女に見切りをつけられ負け犬ロードを帰宅部の仲間達と共に、ゾンビよろしくはいずり始めようとした矢先の事であった……。
「受験?」
「そう。受験です」
「……受験なら中学生の時に一度終焉を迎えさせていただきましたが……」
「歴史は二度繰り返されます」
「どうして?」
「この国の制度です。これをパスしなければ貴方のフューチャーは………」
「先生。何故にまた爆死しなければならないのですか?」
一度県立に落ちてます。
「社会的地位を勝ち得る為に」
「先生。何故ですか?」
「公橋君はまだ働きたくはないでしょう?」
「分かりました。受験します」
そう……一部の受験生に絶望を浴びせる受験の波が既に俺達に押し寄せていたのだ。
気付いていたが現実からは目を逸らしていた。失恋からか、心はふさぎ込みがちだった。近頃好奇心でプレイしたアドベンチャーゲームに感銘を受け、友人と明日を夢見るシナリオライターになろうなどと考えていた。
だが!
「じゃあ私の社会的地位を上げる為に国立目指して頑張って下さい」
「先生。よくわかりません」
「…………」
こんな大人にならないよう頑張ろうと深く胸に刻んだ。
そしてここから物語は始まるのでした。
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