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「海風が涼し~い……なぁ…」
どういう経緯でか、只今クルーザーに乗せられています。なんでも祖父所有だそうですが、親父は自由に使っています。ちなみにクルーザーの存在は今日初めて知りました。
「気に入ってもらってなによりだが、残念ながら良い勉強場所というのはここじゃない」
「ふ~ん……」
正直言って興味がない。肌を撫でる涼風が見事に俺の好奇心と興味を削ぎ落としていく。
嘘です。
最初から親父の悪い趣味なんかに興味なんてないだけ。そのせいでもあり、溜まりに溜まった憂鬱だけが心の深いところに沈んでいく。でもなんかこうVIP待遇的な、スイート待遇的なもんだったら嫌じゃないかもしれない。
「ほら、そろそろお前がこれから住む場所が見えてきたぞ」
と、親父は人差し指をその俺の住む場所に指を指した。
……俺の住む場所?はて?
「島……だな」
見えたのは島。孤島。某憂鬱の小説で何だかヒロインと洞穴で互いに裸になってたりする島。
遠目からでも、草木の生い茂った、これでもかとマイナスイオンが放出し過ぎていそうで逆に気持ち悪くなりそうな程自然に溢れていそうなのが分かる。
「そう、お前の爺さんが自然を残そうとキャッシュの一括払いで買った島だ。すごいだろ」
何色のジャックだよ?
「……ああ」
爺さん「は」すごい。
「勉強……頑張れよ」
「?……ああ」
何でアサッテの方を向いて感慨深そうに話すんだ?
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