ダイス

4/5
前へ
/5ページ
次へ
手術日。タクマは起き上がれない。ユウキが心配そうに付き添っている。 ユウ「今日手術なんだってよ。だから、なあ。頑張れタクマ」 タク「(呼吸も荒く)僕…」 ユウ「なあ、大丈夫だよ。もう直ぐ春だ。俺達高校2年生だぜ」 タク「ユウキ…」 ユウ「タクマ…。た、退院したら、一緒に校長室いこうぜ。もっふもふのソファが気持ちよくってさ。あと放送室でノリノリのロックかけて、図書室のエロ本回し読みして…それから…それから…」 タク「いいよ…。どうせ助からないんだ」 ユウ「ふざけんなよ。俺初めてはお前って決めてんだぜ…」 タクマ、ユウキを叩く。 ユウ「はあ…? なんだよコレ、痛くないぞ。もっとちゃんと叩けよう…タクマ…」 タク「…もう手術だ。帰れよ」 ユウ「タクマ…」 タク「もうここには来るなよ」 ユウ「タクマ…」 ユウキ、去る。 夜が来た。少年はタクマに歩み寄る。 少年「手術は失敗。あまりにも悪化した心臓に医師団は為す術もなく閉胸…。お前は死にたがっていたな。だがまだまだ生きるかもしれねえぜ。最初で最後のダイスをふってみな」 少年が短刀を取り出す音。 少年「その痛み、取り除いてやろう」 少年がタクマを刺す。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加