プロローグ

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「…じの!藤野!おい、藤野っ!」 「あ、はい…」 英語教師の声に、ぼんやりしていた頭が覚醒する。そういえば今は英語の授業だった、と思い教科書とノートに視線を落とした。 「起きてっかー?15行目、読んで訳して」 「すみません。ノートが真っ白です」 「…予習をしていないだけだろう。仕方ない、春賀、訳せ」 スラスラと英語を読み、日本語訳も綺麗にまとめられている。 ―流石だな、シュン… ふう、と似合わない溜息を吐き出し、黒板をうめ尽くしている文字をノートに写し始めた。消された部分はシュンに見せてもらおう、と頭の片隅で思いながら。
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