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「珍しいな、冬眞からこっちのクラスに来るなんて」
「うん。クラスに高野先生がやって来たから女子が騒ぎ始めたんだ。煩いし、邪魔だから逃げて来た」
冬眞は文系クラス。なので高野の授業は無いに等しい。そんな所に高野が行けば女子が騒ぎ立てるのは目に見えている。学校内のアイドルのようなものだ。
「だから、今日はこっちで弁当食べる」
言うが早く、近くから椅子を持って来て、雅人の机の上に弁当箱を置いた。俊弥も雅人の正面に座りコンビニ袋の中からいくつかのパンを取り出した。
「いっただきまーす!!」
笑顔でカパッと弁当箱を開く雅人。瞬間、雅人の顔が青くなった。
「…ピーマンか人参が入ってたのか?」
俊弥がパンをかじりながら問い掛ける。すると、雅人はぶんぶんと首を激しく縦に振った。
「食ってやるよ。けど、焼きそばパンと交換な。栄養が偏るから」
「なんか俊弥、雅人のお母さんみたい」
交換をしている二人を見て、冬眞がポツリと呟いた。
「あー、なんかよく言われる。小さい頃からの付き合いだからかな」
「確かにシュンって面倒見いいよな。優しいし、気が利くし」
俊弥から貰った焼きそばパンを頬張りながら、にへら、と笑う雅人。
「なんか俺、二人の邪魔してる?」
「邪魔って何の?」
雅人の不思議そうな表情と、はあ、と溜息を漏らす俊弥。
「なんでもない」
首を傾げる雅人から視線を外し、止めていた箸を動かし始めた。
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