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「…マサ。起きろよ」
身体を揺さ振られる。頭上からは心地いい声がして、いい匂いが鼻腔を擽る。
「んー。まだー」
「まだって言われてもな…ほら、早く起きなきゃキスすんぜ?」
午後の授業まで、あと十五分。その間に雅人を起こさなければならない。俊弥は、溜息を吐き出し、雅人の耳元で囁いた。
「えへへー、シュンとちゅーできんなら俺、寝とくー…」
―駄目だ。完璧に寝ぼけてる!ったく、マジですんぞ、この鈍感野郎。いや、鈍感な御蔭で今まで仲良しで居られたようなもんか。
俊弥は、本日何度目かの溜息を吐き出した。
「……ピーマンと人参、食わせるぞ!マサっ!」
「嫌だっっ!!!」
流石、雅人の嫌いな食べ物No.1。効果覿面。満足そうな俊弥の顔に比べ、今にも泣きそうな雅人の顔。
目つきが悪いと評判の、雅人の目も今だけは、和らいでいる。
「オハヨーさん、雅人くん」
「シュンの馬鹿ー。もうちっと優しく起こせよな」
「マサが、なかなか起きないからだ。ほら準備」
雅人の前が俊弥の席なので、椅子に対して横向きに座り、雅人と会話を交わす。
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