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「あきらめんなって」
少年がしゃがみこんで落ち込んでいる男の肩を叩いた。
「うるせぇ、タメ口とかきいてんじゃねぇよ!」
だが、叩かれた方は顔も上げずに、汚いののしりをあびせてくる。
「だって、あんたすぐあきらめようとするし。もちっと頑張れよ。だらしねぇ」
さらに少年は話しかける。元気づけようとしているのだが、相手には逆効果らしい。
「うるせぇ、うるせぇ!私はもう20回、振られてんだ!もっといたわりやがれ!」
「正確には22回。」
励ましの声をかけていた少年の後ろに立っている少女が冷静に間違いを訂正した。
だがその言葉に、落ち込んでいた青年は、立ち上がれないほどのショックを受けたようだ。
「……」
「たかだか22回でいじけんなよー」
「たかだか?もう何年、地上にいると思ってんだ!!」
ついに青年は叫び出す。座ったままの姿勢のため、子どもが駄々をこねているようだ。…実際、そこらの子どもと変わらないだろう。
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