商売娘

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道なき道を進む。 少女の目の前には、木がどこまでも果てしなく続いていた。 チチッ 鳥のさえずりが聞こえる。 いいね、あなたたちは。 ここが、家なのね。 私の名前はロッタ。 15歳になったばかりの女の子。もう立派な大人だ。 少し茶まじりの黒髪に、パッとしない普通の顔立ち。 それが私。 なんて短い自己紹介文。でも、他に特徴というものが見当たらない。 今、私は1人で林を抜けようとしていた。 私が産まれたカルセ村では、12歳を迎えると、1人立ちするという決まりがある。12歳になるまでに、何か自分の特技を見付け、それを商売にして生きていかなければならない。そういう決まりなのだ。 私も、12歳を迎えた日、村を出た。 それから、ずっと1人で村を転々と渡り歩いてきたのだ。 でも、今、私は途方に暮れていた。 3度目に見る切株の横で立ち止まる。 ……道に迷った。
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