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『ナ…ォ…』
麻酔が切れかかった虚ろな意識の中、まだうまく焦点が合わないのにもかかわらず何かを掴もうとして空中に手を延ばした。
一瞬にしてさえた意識。そして狂ったように声にならない声を喉の奥から絞りだした。
『ナォ…』
『ナオ…っ…』
モォ…イナインダ…
腹部に残る痛み。それは躰のナカをえぐられた痛み。その痛みを実感すると、あふれる涙を止めることができなくて、届くことのない延ばした手は虚しく宙を仰いでいた…
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