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「え?Targetって……『標的』ってこと?」
アレックスは慌てて友人のハンディーデバイスを覗き込み、同様の操作で現在位置を拡大させた。
友人の現在位置を表示していると思われる場所にでてきたのは、その友人の名前だった。
「え……?なにそれ?」
もう一人別の友人で試すが、結果は同じだった。
「不審者の標的が俺ってこと?なんの冗談だよ……。あ、もしかしてバグ(プログラムの故障)かな?」
アレックスは動揺しながらも精一杯笑顔をつくり、友人に同意を求めた。
「う、うん……。けど一階の光、こっち向かってないか……?」
友人の一言に、アレックスは弾かれるように視線をハンディーデバイスに向ける。
「戻れ!」
音声で命令を下すと、アレックスの位置を拡大した画面から、南館全体を映した画面へ切り替わる。
先ほどまで一階にあった不審者を示すと思われる光点は、今では南館東側の階段、二階部分に移動していた。
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