訪れる災厄

16/53
前へ
/56ページ
次へ
 中央階段にたどり着く直前、アレックスはハンディーデバイスを横目で確認する。  アレックスと不審者との距離は僅かに開いた気がする。 (どっちへ向かえばいい……!?)  先ず、屋上は駄目である。 他人を巻き込む可能性は最も少ないが、アレックス自身の逃げ場が亡くなる。  このまま西階段へ向かうのも、不審者との視線が通ったままなのでそれも避けたい。 (よしっ……!)  アレックスは意を決し、校舎の北館に続く渡り廊下を駆け抜けた。  北館には、職員室と警備室がある。 助けが現れる可能性は、北館にいた方が高い。  それに、これで不審者からアレックスを直接確認出来なくなった。  予め不審者がアレックスが居る教室を知って、そこへ向かっているだけだったら、これで取り敢えずは巻いたことになる。  後はアレックスの現在地を、何かで追尾されていなければ、この場は逃げ切れるはずだ。  しかし……
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加