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連絡通路を渡りきったとき、先ほど聞いた「ポン」という電子音と共に、北館の見取り図へと切り替わる。
アレックスの現在位置には相変わらず「Target」の光点。
そして、アレックスの真下、つまり北館中央階段の二階部分に、もう一つの光点が写し出されていた。
「え……?」
一瞬、アレックスはそれを理解するのを苦しむ。
「……あ!! 戻れ!」
ハンディーデバイスに音声命令を下すと、そこには北館、南館、全体の見取り図が現れた。
そこには、アレックスを指す光点以外に、確かに二つの光点が示されている。
いつそれが増えたのかは分からない。
しかし、それは確かに、不審者が二人存在している事を物語っていた。
「何だよこの糞アプリ!」
思わず声に出し悪態をつき、憎らしげにハンディーデバイスを持つ手に力を込める。
「ポン」
それはまるで、握られたハンディーデバイスが悲鳴を上げたようなタイミングだった。
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