59人が本棚に入れています
本棚に追加
「次はなんだよ!」
毒を吐きながら、ハンディーデバイスに目を落とす。
最初アレックスは、画面に出ている小さな変化に、気付くことができなかった。
そうしてる間にも、不審者達は確実に近づいている。
南館の不審者は間もなく連絡通路へと差し掛かり、北館の不審者はもう三階まで来ている。
「なんなんだよ、いったい……!」
アレックスは怒り、悲しみ、焦り、様々な感情が込み上げる。
このような襲撃を受けるのは、たしかこれで三度目。
その度にアレックスは、姿をくらます為に転校を繰り返した。
幸い、今までは特に大きな怪我等はしていないが、今度ばかりはそうはいかなさそうだ。
「ポン…」
ハンディーデバイスが再び鳴る。
「うるさい!」
怒鳴りながら、それに目を向ける。
「……え?」
その時初めてそれに気が付いた。
アレックスの現在位置から、西に向かって矢印が表示されているのを。
最初のコメントを投稿しよう!