訪れる災厄

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 教師の重圧から開放され、教室内は一気に活気を取り戻す。  さながら風船が割られ、中から紙吹雪が飛び散るようだった。  ある者は持参した昼食を広げ、ある者は購買部へと飛び出していく。  アレックス達の教室は、四階建ての校舎の、四階一番奥。  つまり、購買部から最も離れた場所に位置する。  この場所で、お目当ての食事を無事購入するには、それなりの努力が必要なのである。  本来であれば、アレックスも級友と連れ立って、購買部へひた走るのだが、先ほど突き付けられた個人宿題のダメージが抜けきらず、とてもそんな気分ではなかった。  そんなアレックスの陰鬱な心境をよそに、彼の机の周りに数人の人影がへと集まり始める。 「ねえ、神谷君。パラパラ漫画完成したの!?あたしにもちょっと見せてよ!」  最初に口を開いた女子を皮切りに、「俺も!」「私も!」と、次々に声がアレックスにぶつけられる。
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