訪れる災厄

9/53
前へ
/56ページ
次へ
 ざわめき立つ教室内をよそに、スピーカーから音声が流れだすと同時に、ディスプレイにも字幕で放送が表示される。 「校内非常放送です。ただ今南館一階の教室より、校内へ不審者が侵入しました。ただいまより、誘導用のツールを配信します。ハンディーデバイスを持っている生徒は、ソフトのダウンロードを行って下さい。繰り返します……」  そうして、延々と同じセリフが繰り返される。  その放送は女性の声で行われたが、全く抑揚のない、コンピューターで合成したような声だった。  放送が二週した瞬間、電子ホワイトボード上に新たな枠が現れ、そこには校内の見取り図が表示されていた。  それと同時に、辺りから一斉に電子メールの着信音が鳴り響く。  アレックスのハンディーデバイスも同様であり、しかも着信音が鳴らないマナーモードにしてあったのにも関わらず、高らかに音が鳴り響いた。  そしてハンディーデバイス上に、立体表示で文字が映し出される。  ―――――――――――― 配信者:管理コンピューター 信頼度:高 優先度:高 ファイアウォール(ウイルスに対する防壁)を解除しますか?   [YES(推奨)]  [NO]  ――――――――――――
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加