部屋に…

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「ごっごごごっっ」 「ご?」 「ごっゴキブリがいるのー!!! しかも私の足にくっついてるのーっ!!!」 悠が美穂の足に目をやると 黒い塊が触角だけを動かしてくっついていた (それでこの惨事か…) 悠は美穂に近づくと何のためらいもなくゴキブリを掴んだ そしてそれを開けた窓から ぶん投げた 「大丈夫か?」 「なっ なんとか…」 美穂は机から降りると悠に聞いた 「なんで悠ここにいるの?」 悠は答える代わりに美穂の頭に手を置き髪をぐしゃぐしゃにした 「なにすんのさ!?」 「別に」 悠はそう言うと 部屋から出ようとした 「悠帰るの?」 「ちょっと寄っただけだからな」 「待ってよー!」 「やだ」 「どうして?」 即答した悠の腕を掴んだ 悠は顔を合わせようとしない 「…お前気付いてる? 今どんな格好してるか」 「えっ…」 「あんまそんなことすると理性がもたない」 美穂はパッと手を離した もうその意味が解らない歳じゃない 「ごめんなさい」 すると悠は笑った 「謝る必要はない」 そう言って軽くくちづけした 「…っ」 真っ赤になった美穂を置いて 悠は部屋から出ていった 4年ぶりのキスは またもや不意打ちで終わった
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