香に包まれて

3/7
前へ
/95ページ
次へ
「ふぅ~ 食った食った!ごちそうさまでした!」 美穂は朝ごはんを軽快にお腹に流し込み 満足げだった そんな美穂の斜め前に座っているかなたは 魂が抜けて風化しそうだった 「かなた君どうしたの?」 「ぃぃぃいえっ!!なんでもないです!!」 どもりすぎで怪しかったが追求しないことにした 「美穂ちゃんは今日からバイトかい?」 食器をながしに運ぶと枝津子さんが聞いてきた 「はい!街角のカフェでウエイトレスやってきます!」 「そう 頑張ってね」 「はい!」 振り向くと空ちゃんと目が合ったから にっこり笑い返した 「いってきまーす!」 水色とシルバーの自転車に乗って 寮を飛び出した ここからバイト先は約40分くらい 意外と遠そうで近い距離だった 外の空気を一杯肺にいれた 今日は天気で まだ少し肌寒いが すがすがしい日だった 「悠は今頃大学だろうなぁ…」 桜並木を横手にふと そんなことを考えた あんなにかっこよくなった悠は きっと大学でもモテモテだろう なんか悔しいなぁ… 悠だけ大人になるなんて私はこのままでいいんだろうか? 悠は私をおいてったりしないかな? ばかな奴だと思ってないかな? なんか不安になるなー と、深く考えていると あっという間に 美穂のバイト先 『LIGHT THE SKY』というオシャレなカフェに 到着した
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加