逆さの双子

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美穂は振り返って2人に向き合った 「学校でなんかあった?」 なるべく優しく言った はるかちゃんが俯く 「関係ねぇだろ!」 「かなたっ!」 はるかがワイシャツの裾を引っ張った 「……実は………」 はるかちゃんが悲しい顔をする 「私…いじめられてるんです……」 「えっ!?」 「…」 美穂が小さく叫んだ 「………私……みんなから見て…怖いらしくて……かなたみたいに…明るくない…から……」 いじめなんて言葉 私には無縁だと思ってた でも違った こんなに身近にあったなんて… 「…何されたの?」 「こいつの机の上に花瓶が置いてあったり 上靴に画鋲入ってたり 机ん中にゴミやら雑巾やら入ってたり 集団で暴言吐いてみたり 雑用押し付けたり… 最悪だとこいつ、犯されそうになって 俺が助けてここまで来たんだ」 マンガに書いてあるようなことばっかり… 本当にそんなことするんだ… 「陰険すぎる…」 「どこの高校だ?」 ここで初めて悠が口を出した 「梅ヶ丘第1…」 かなたくんが控えめに言った 「先生は知ってるのか」 「言っても信じてくれねぇんだよ」 「…私が学校に行く」 口から咄嗟に出た 美穂ははるかちゃんの手を握る 「辛かったよね… もう大丈夫だから」 「大丈夫って…何するつもりだ?」 悠の言葉に私は不敵に笑ってみせた 「言ったとおり 私がはるかちゃんの代わりに学校に行く」
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