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今乗っている電車のように決められたレールの上をひた走ってこなかった。
同じフィールドに立ってはいても縦横無尽に走ったり、歩いたり、立ち止まったりしてきた。
それぞれのスピードで。
それぞれのペースで。
それでも互いの大まかな位置ぐらいは把握していたはず。
少なくとも僕は。
「私がわかんないのに、シュウが分かるわけないよねー……」
僕が黙って果敢にも難問に挑んでいるのをナノハは待ち切れなかったようだ。
「もし……一人暮らししたらシュウとこうやってムダ話しながら帰ることもなくなるんだよね」
中途半端な笑顔を浮かべるなよ……。
――寂しさが伝染るだろ……。
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