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焦ったナノハはカバンを座席にほったらかしたまま開かれたドアへと駆け出し、僕の目の前を通り過ぎようとする。
僕は反射的にナノハの腕を掴んで、顔を見上げた。
駆けた勢いで揺れた髪の隙間から、隠れていたナノハの耳がさくらんぼのピアスと同じ色に紅く染まっているのが見えて
僕の本能が何かに反応したみたいに気付けば口にしていた――
「好きだ」
僕はスタート切ってから87分費やし、ようやくその言葉を口にした。
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