気まぐれ逃避行

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今の私にとって高校の教室は、どんよりした重い空気が満ちた息苦しい場所でしかない。 クラスの大多数が授業中も休み時間も教科書とニラメッコ。 勝ち負けつかないツマラナイ勝負に明け暮れている。 昨日見たドラマの話、昨日読んだマンガの話、やっちまった的なバカ話、どれも話のネタになりもしない。 大声で笑うヤツは、細められた目で、見下されるように睨まれるだけ。 ――――怖くはない。 蔑みでしかない視線に睨み返す価値が、私には見出せない。 窓際、後ろから二番目の名前順で決められた席。 私は目を閉じて机に突っ伏した。 耳には、 意味不明な叫びを上げる流行の曲が、 擦り切れた声で 伝えたい何かを 訴えかけている。  
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