壱:---運命(サダメ)---
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薫は受け取った文を丁寧に開き、読んだ。 文には柳眉な文字で一句の短歌が書かれていた。 『君恋し 春の薫りに酔ひけるは 我が心にも満ちたる想ひを』 …短歌を見るだけで分かる。 これは懸想文だ。 つまり、ラブレター。 薫の名と花の香りをかけている高度な歌だ。
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