壱:---運命(サダメ)---

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邸内に薫の声が響きわたった。 兼平はほけほけと笑いながら言う。 「幼い頃からおてんばな薫が手弱女に見えるわけはないか」 薫はその一言に食ってかかる。 「わ、私だって女らしい所あるわよ!!」 「手習いは自己流に書くわ、風流な歌を詠むこともしない、琴も上手く爪弾けない…これのどこに文の方が惹かれたのだろうか」 もはや嘆きともとれない呟きを洩らす兼平を見て、薫は何も言い返せなかった。
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