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―翌朝、今度は夜も明けぬ丑の刻に到着した、どうやら老人はまだ着いていないようだった、張角はホッと胸を撫で下ろし暫く待っていると足音が聞こえてきた
どうやら足音の主は老人の様で、近くに来ると、張角に気付いたのか右手を挙げた
『若者よ、今日は早かったな、若者はそうでなくてはならん、敬う心を忘れぬ様にせよ』
そう言うと老人は数冊の書物を差し出した
『これは太平要術の書というものじゃ、この書を熟読、習得し来るべき時に弱き者を助けるのじゃ』
張角は書物を受け取ると、必ずや…と返事をしながら老人に問うた
『名はなんとおっしゃられるのですか?』
『ワシの名は南華老仙じゃ、書物は誰にも見せてはならん、此度の出来事夢々忘れるなかれ…』
そういうと仙人は一陣の風と共に消えてしまった―-
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