無気力なアイツ

2/8
213人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
「燃えろ!フレア」 「轟け!サンダー」 二人の魔法使いが放った魔法は互いにその効果を打ち消し合う。 魔法使いたちはそれを見て不敵に笑い、再び魔法をぶつけ合う。 ここではそんな光景がいくつも見られる。 というのも、ここはラード王国の魔法学園で只今生徒たちは模擬戦の最中だからだ。 それぞれが互いを高め合い、切磋琢磨しているその中に、一際目を引く存在がいる。 名はアルフレッド。小等部からのエスカレーター式のこの学園にあって、中等部の二学年…さらに夏休み開けという中途半端な時期に転入してきた男。 転入してから三年たった現在、彼は天才の名を欲しいがままにしていた。 「灰に帰せ、炎槍(ファイア)」 「ちょっ!アルっ!それはやりす――ぎゃー!!」 アルフレッドの放った魔法は模擬戦相手の男に命中。 結果は一撃KO。周囲の生徒たちも呆気にとられたように模擬戦をやめ、アルフレッドに注目している。 「ふむ、上級魔法になると流石に短縮化は難しいな、威力が半分にも満たん」 不満気に頭をかきむしる彼。あれでかよ…と、周囲の生徒たちは呆れたようにため息を漏らす。最早同級生ではないと言った感じだろう。 魔力の量、コントロール、制度。その他全てに置いて彼は頭一つ抜けている。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!