夢現

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ガルクがチラリと医者を見ると、続ける様に視線を送られた。   「ラーク、もう覚えてないのか? あれは今日の話だぞ? お前は売らない。売る必要もない。売りたくない。そう言っただろ?」   ギュッとシーツを握り、ラークは苦しそうな息を漏らした。   「忘れたのか? まあ、酷い怪我したから記憶飛んだかもな。 忘れたって言うなら、何回でも言ってやる。忘れるなよ?」   ラークはガルクを見上げた。   「何で、お前はそんな事言えるんだ? 何で言ってくれるんだ?   俺、何回も何回も売られたり、捨てられたりしてたんだよ。売られない様に、俺頑張ってたんだぞ? 捨てられも、売られたりも嫌だから……」   「だろうな。お前、馬鹿みたいに正直だからな」   ガルクは医者と看護士に目配せをし、少しの間出ていって貰った。   「売られた先で、色んな事したり、されたりしたんだ……。 レイプなんて当たり前。何日も何日も輪姦されて、何日も食べ物も無くて、何人も何人も殺して……何回も何回も、発狂させて……何人も何人も、殺して……」   肩を震わせ、ラークは言葉を吐き出す。
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