2876人が本棚に入れています
本棚に追加
/500ページ
言葉をゆっくりかみ砕き、飲み込む様に、ラークは少しの間、ただガルクを見上げていた。
「……ガルク、俺言わなきゃいけない事があるんだ」
やがて、ラークは言った。
ガルクは椅子に座り、同じ目線の高さでジッとラークを見た。
「ニールが言ってた、キャロレイの話……」
覚悟を決める様に、一度息をついてラークはガルクを見た。
「俺、人間じゃないんだ」
ガルクは少し、言葉を選ぶ様に沈黙した。
「……そうか。
ニールの態度で薄々、そうじゃないかと思ってたよ」
ラークの緊張を解そうと、ガルクは動揺を隠し、少し笑みを浮かべ、そう言った。
「キャロレイってのは、人間じゃないけど、人間の姿をした生き物の事なんだ。魔物もいる。動物もいる。いないのは人間だけ」
「お前は、何なんだ?」
「……雪豹。白変の」
「白変ってなんだ?」
「真っ白なんだ。豹柄ってのがないんだ」
「それは、珍しいな」
「だから、親が殺されたんだ。
毛皮剥がされて、持って行かれたよ……」
ガルクは、言葉を失った。
最初のコメントを投稿しよう!