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本殿に、肩の部分が露出した巫女のような服を着た少女が立っていた。いや、実際その少女はこの神社―――博麗神社の巫女なのだが。
「あら霊夢、ご無沙汰してるわ」
お嬢様はかけらもペースを変えずに、軽い挨拶を済ませていれてあった紅茶を啜る。
「久しぶりに来たと思えば、無許可に、しかも神社の敷地で宴会?」
かと言いつつ、呆れ顔の少女はいつの間にかちゃっかりとシートの上に座っていた。
博麗 霊夢。その名の通りこの博麗神社の巫女であり、幻想郷で数少ない『妖怪に互角渡り合える人間』の一人でもある。
現に彼女は一度、紅霧異変でお嬢様を負かした。
俺も一度手合わせしたことがあるが、はっきり言うとボロ負けした。それはもう完膚なまでに。
「はいはい、小競り合いはその辺にして、早く呑みましょう食べましょう」
食欲もそろそろ限界にきていたので、小競り合いを繰り返す二人を静めて皆に杯を配る。
「じゃ、乾杯しましょうか」
何故か仕切り始めた霊夢は、杯をかかげて、「乾杯!」と言った。
『乾杯っ!』
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