巫女と神社と百鬼夜行

4/15

332人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
「させるか!」 「アグォッ!?」 乾杯と言った瞬間、叫び声と共に首の、なんかこう根本付近の背中の固い場所に衝撃が走り、一瞬呼吸が止まるほどの衝撃に体がおもいっきりぶれる。 「冷たっ!?」 遅れて透の悲鳴が聞こえる。前に座ってるから杯からこぼれた酒が直撃したんだろう。 「誰だよいきなり!」 俺は首を摩りながら声の犯人を確かめるべく振り返る。 そこにはお嬢様と同じぐらいの幼い少女が両手を腰にあて、ぷんぷん怒りながらこちらを睨んでいた。 「誰だも何もないよ!なんで私がいないのに宴会なんて開いてるのさ!」 怒鳴りながら少女はがんがん俺の頭を叩いてくる。痛い、痛いぜおい。 「お前もいると思って来たんだよ!でもいなかったから『まあいいかあいつなら後で来るだろ絶対に』ってみんな同意した上で開いたんだよ!わかったか!わかれ!」 「え……そ、そうだったんだ。それならそうと早く言ってよー」 「挨拶もなしにクロスチョップを叩き込んできたやつにどう言えと?」 見てわかるように少女から申し訳なさ全快のオーラが漂う。 少女の名は伊吹 萃香(イブキ スイカ)。種族ば鬼"。その証拠に、幼い外見に到底そぐわない二本の角が頭から生えている。 この少女、実は大の酒好きであって、いつも無限に酒の沸く瓢箪を持ち歩いており、こうした宴会には必ずと言っていいぐらい参加するほどだ。 ちなみに常に酔っていて、しらふの彼女を見た者はいないという。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

332人が本棚に入れています
本棚に追加