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「……まあいいや。萃香も座りな、早く飲もう」
しょげている萃香を見ていると罪悪感が沸いてきたからそう言ってみると、萃香は『えへへー』と笑って俺の横に座った。
いや、座れとは言ったけどさ、なんで俺とお嬢様の間に座るかな。主従関係ぶった切る気かお前は。
なんてことを言えばまたしょげること必死なので勿論言わない。萃香に悪気はないし、鬼は卑怯なこと嫌いだし。
「オレ濡れ損w」
手ぬぐいで顔を拭っている透だが、なんで笑顔なのか不思議でならない。こいつに怒の感情はないのか?
他の連中は俺達がギャーギャーやってる間にすっかり酒盛りを始めている。よくもまああんだけ騒いでたのをスルーできるなと感心するが、それもいつものことだから気にしない。
「で、あんたら何しに来たの?まさか本当にお参りってわけでもないでしょ」
ほんのり顔を赤く染めた霊夢が、神社でワイングラスと違和感だらけなお嬢様に言った。
「そのまさかなんだけどね。まあお参りって名目で宴会しに来ただけだし、心配しなくてもおさい銭は入れてあげる」
信仰はしないけど、とお嬢様はいたずらっぽく付け加える。妖怪は人間より信仰心が強いって言うが、なんというか、お嬢様は相変わらずだなぁ。いろんな意味で。
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