332人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
「でもね、おかしなこともあるんだよ?」
「おかしなこと?」
意味深なことを言う萃香に、反射的に聞き返してしまう。
「さっき私、最近は興味をそそる事件も何もないって言ったでしょ?」
「言ったな」
「そこなんだよ。異変の予丁や事件が起きたわけでもない、妖怪が何か動きを見せたわけでもない。
でもね……何かこう、胸にざわざわくるんだよ。いつも異変が起こる前に感じる感覚が」
それはつまり。
「もうすぐ異変が起きるってことか?」
「どうだろうね。嫌な胸騒ぎはするけど、まだ何一つ幻想郷に変化がないからね」
「はぁ……何か起きるまで待つしかないってか」
待つのは嫌いなんだけどな。待たせるのも嫌いだが。
ともあれ。
「それで、もし異変が起こったらお前はどうするんだ?」
萃香は「うーん」と唸った後に、こう答えた。
「とりあえずは見て見ぬふりかな。自分に害があれば私も動くかもしれないけど、むやみに干渉したら私の次の機会に邪魔されちゃうからね。のんびり楽しむさ」
「また異変起こす気かよっ」
そう。
萃香もまたお嬢様と同じく、過去に異変を起こした身だ。
最初のコメントを投稿しよう!