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「えっ……何?お前等知り合い?」
「さあ?えっと、顔が見えないのだけれど……見えるようにしてくれる?」
咲夜が困惑しながらもそう頼んだ。
「声だけじゃやっぱわかりませんか……。オレですよ、嘘楽(ウラク)ですよ!」
嘘楽と名乗った男は危害を加えない意志表示として両手を上げ、顔が見えるようにこちらに近づく。
「嘘楽……?ああ、以前幻を使って館に侵入した人間」
「は?侵入!?じゃあ何だ、こいつ敵か?」
「情報に大きな偽りがあるんですけど」
え?違うん?
「てかオレも楢葵もそんなことがあったなんて知らないぜ?」
俺と揃ってポカンとしていた透がまるで俺の疑問を代弁するかのように言った。ナイスアシスト。
「たしかあの時はあなた達里に行ってくるとかなんとか言っていなかったから」
ああなんだ、俺等が不在の時か。
「で?嘘楽だったっけ……こんな時間に神社にわざわざ何の用だ?言っとくが賽銭盗むのはオススメしないぞ、命懸けな上に割に合わん」
「いやそんな犯罪チックなことしないから!オレはただ稼ぎが貯まったから帰って来ただけだって!」
「あっそフーン……って、今何て言った?」
「稼ぎが貯まったから!帰って来た!」
プチキレながら嘘楽とやらは叫ぶ。前半はどうでもいいとして、帰って来たってどういうことだ?
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