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「やあ、よく来てくれた。授業終わりで少々散らかっているが上がってくれ、お茶をいれよう」
そう言って俺達を客間に通した後、ライトブルーの髪を靡かせながら彼女―――上白沢 慧音は部屋の奥に消えた。
「饅頭買ってきたから茶菓子はいらんぞー」
被ってもあれなので一応言っておいた。
慧音は寺子屋の教師、さらに里の守護者と、この里において欠かすことのできない人物だ。
彼女の結界が里を守っているおかげで人間達は安心して暮らすことができる。
ちなみに美人さん。
「………………」
「な、なんですかなその目は」
なんかとっちーに白い目で見られたのは気のせいだと思いたい。
「えっと……楢葵、この娘は……」
茶を飲んだ後、おそらく俺達が来た時からずっと気になっていたであろうことを慧音はおずおずと聞いてきた。
さて、慧音には事実を話すべきだろうか。
慧音は信頼できるし、秘密を漏らすようなことは絶対にしない。俺だって何度も相談事等で世話になっている。
だがこれは俺だけの話じゃない。むしろとっちーの問題ではないだろうか?
「……楢葵」
はっととっちーに呼ばれて我に返る。かなり深く考えていたようだ。
「ああ、ごめん。あのことを話すかどうか迷ってて……」
「いい。……私が話す」
……え?
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