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「またサボりかしら」
不意に、楢葵の背後から声がした。
念のためにもう一度言っておくが、ここは屋根の上である。
「んーや、今日の仕事は全部終わらせたぜ?」
楢葵はそんなことを気にもせず、声の主に返答しながら振り向く。
振り向いた先には、銀髪の、典型的なメイドがいた。
ただし、片手に銀のナイフを数本携えて。
「ふーん、じゃあ厨房の器具の整理も終わったのかしら?」
「あ」
思わず声が出たが、すぐさま首を横に振り、
「あー、やったよやった」
言い切った。
「じゃ、今から確認しに行ってくるわ」
「ゴメンナサイやってません完全に忘れてました」
先刻以上の速度で謝る楢葵に対し、メイド呆れながら顔を手で覆う。
「厨房はもういいから、妹様が御呼びよ」
「すぐ行くって伝えてくれ!」
妹様と聞いた途端に嬉しそうに、楢葵は湯呑みと大福を乗せた盆を持って、屋根から゙飛び降りた"。
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