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幻想郷においての異変は、いわゆる嵐のようなものである。
何の前触れもなくやって来て、気がつけば止んでいる―――事が始まってからでないと気付かない。
いや、気付けないのだ。
異変が人為的なものであろうが自然的なものであろうが、人であれ妖怪であれ、それを予測する手立てがない。
たとえ予測できたとしても、それを止めることができなければ意味もない。
結局は異変と思える何かが起こるまでひたすら待ち続け、皆が被害を被ることで異変の存在を認識するしかないのだ。
完璧に未来を捩曲げることなどできないのだから。
警戒も対策も、被害を最小限に留めるためにある。先に起こりうる事象を潰すことは不可能。
今回もそう。
やはり、起こってしまった。
気付いた時にはもう手遅れ、流れに身を掴まされぬよう精一杯抗うことしかできない。
だがいつもと少し違う点があるとすれば、警戒と対策が万全であり、尚且つそれをある程度予測していた者が数名いたことか。
結果として、あの土地神の警告は、被害を食い止めることにしては充分過ぎるものとなった。
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