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いくつもの異なる世界の中で、ひっそりと存在する世界があった。
楽園と呼ばれる世界――――――『幻想郷』
それほど大きくもなく、絶対安全の保証されるわけでもない。
楽園と呼ばれる由縁は、幻想郷が゙幻想と成りえたモノ"の行き着く場所なのである。
外の世界で居場所を失ったモノは、偶然か意図的か、この幻想郷へと流れ着く習性があるのだ。
故に、幻想郷には様々なモノが存在する。妖精から妖怪、果ては信仰を失った神々まで。
そしてこの幻想郷には、もう一つ大きな特徴がある。
『異変』と呼ばれる、妖怪達の引き起こす事件だ。
この『異変』はそれほど危険なモノではなく、誰かが大きな被害を被るわけではない。
ただ、奇妙なことが続くのだ。
過去に、春が訪れない、夜が明けないといった異変があった。人間達はその異変を怪しみ、妖怪達は割と呑気に身を任せる。
そして異変が終われば、酒の肴となって語られる。異変はもはや幻想郷の風習なのだ。
その幻想郷が、これからどういった動きを見せるのか。
今はまだ、誰にもわからない。
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