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紅魔館は、はっきり言ってしまえば『ただただでかくて紅い館』だ。
しかも紅いのは外観だけでなく、廊下の床や壁まで紅いといったものだから、初めてここを訪れる者の大半は目を痛めてしまう。
まぁそれはともかく、この紅魔館を治めるのが、吸血鬼『レミリア・スカーレット』なのだが―――
彼女は吸血鬼であるため、通常人間が活動する時間はあまり動くことはない。というか大体寝ている。
そして夜になると、やっと活動を開始するわけだが―――
「………暇ー」
そのレミリア・スカーレットは、パラソルの下で頬杖をつきながらそうぼやいた。
「最近はめっきり取り上げるような異変がなくなりましたからねぇ」
そのぼやきをわざわざ拾って返したのは、ついさっきまで楢葵と共に屋根の上にいたメイドだった。
「咲夜、なんでもいいから事件を起こしてきてよ。巫女が動くぐらい大きいの」
無理難題を言うレミリアに対し、咲夜と呼ばれたメイドは微笑み、
「私は人間ですので、そんなことはできませんわ」
と答えた。
半ば予想していた答えに、レミリアは「つまんない」と再びぼやく。
姿も言動も子供っぽいレミリアだが、彼女は500年の年を生きてきた立派な吸血鬼であり、過去に異変を起こしたほどの実力者である。
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