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『紅霧異変』という異変があった。
幻想郷が紅く深い霧に覆われ、地上には日の光も届かず、夏なのに気温が上がらないという異変だ。
この霧を吸うと気分が悪くなり、人間達は人里どころか家からもまともに出られなかった。
結局の所、霧の原因はレミリアであり、霧で日光を遮れば昼間でも騒げるんじゃないかというなんともまあ自己中心的な動機により、引き起こされた異変である。
にもかかわらず―――
「そろそろ、誰かが動き出してもいい頃だと思うんだけどね」
その異変の元主導者は、『次の異変』を待ち望んでいた。
「博麗の神社では、何やら間欠泉が沸いたとのことですが」
「地下の妖怪でしょ?パチェが何か準備してたわ」
レミリアは遠くに見える湖を眺めながら、昔に『自分達』を倒して異変を解決した巫女の顔を思い浮かべた。
「最近行ってなかったし、午後にでも神社にお参りでもしようかしら」
「温泉もありますしね」
温泉、というワードに顔を輝かせるレミリア。流水に弱い吸血鬼でも、温泉は大好きなものなのだ。
「決まりね!今夜はお酒も持って神社にお参りよ!」
退屈を吹き飛ばすように、レミリアは高らかに宣言した。
咲夜はそんな主を見てクスッと笑い、恭しく礼をした。
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